秋になってやっと工業団地の計画が公表された。議会の審議も始まり、知事や企画局長といった県の幹部が陳情を開始する段階になると、この計画が談合屋の正規の議題に上るようになる。だが、この件では私の会社が完全に単独トップの様相を呈していた。私と支店長は談合での地位を確実なものにするために、手分けして地元企業の社長や東京に本社がある各社の支店長クラスと談合屋の懐柔工作に精を出した。何しろ本社の特別プロジェクトの一環だから、支社にも特別の軍資金が配慮されている。
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この段階では私の会社が公式に名乗りを上げているから、私は談合屋の仲間を毎晩のように連れだして、情報を探りつつ競争相手にならないように、地元ゼネコンとは裏JVの約束をし、小さいところの談合屋には適当に遊ばせてやって大判振る舞いするのである。この時点で私と一緒に遊ばない者がいれば、その談合屋の会社は出馬する意思があるか、あるいは私と同じ中央のゼネコンの深山建設の村山と組もうとしているかのどちらかであった。一方では補助金獲得のために東京へ出張する役人に対しては、東京の本社で在京中の接待などのめんどうを見、地元出身の大物政治家との連携プレーで私の会社の受注を既成事実化していくのである。こうして本社レベルの責任者を配して、補助金獲得にまで陰となり協力して受注活動をすることを「汗をかく」というのである。