建てるにしろ買うにしろ借りるにしろ、住宅取得は戦後一貫して自助努力にまかされてきました。公的援助の中心は持ち家取得のための住宅金融公庫の融資ですから、本当に住宅に困っている人にとっては救いになりません。住宅についての論議をしようとしても、あきらめの気分が先に立ってしまって、「どうこう言うたって、結局お金がなかったらどうにもならへんねん」と打ち切られてしまうことが少なくありません。理由が納得できない家賃値上げに公団住宅の居住者が反対して署名を集める運動があったときのことです。
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私も協力して相当な枚数を集めたのですが、その間に少なからぬ人から、「わたしらより安い家賃の家に住んでて、なんて値上げに反対しはるの。ぜいたくやわ」という疑問を投げかけられました。公団住宅の居住者も署名に協力してくれた人も決して満足のゆく住宅事情ではないのに、僅かの生活上の差を利用して国民を競争させ分断していく政策が、生活向上を願っている人々の中にも浸み込んできているのです。