全国版マンション情報ガイド

石の文明

2011.11.18

OSにはどんなありようがあったのか。あるのか。西欧とは、石を積み上げることで人間と環境をつなぐ社会であり、文明であったと定義できる。石を積み上げる(組積造)という施工方法には、様々な側面がある。ひとつは、石という重くてかたい素材を積み上げていくということ。そのようにして、堅固な壁を作り、その重い壁を媒介にして人間と環境とをつなぐというのがひとつの側面である。もうひとつは、石が、人間の手によって、ひとつひとつ積まれていくという側面である。

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人の手がていねいに積んでいくのである。石の壁はまさに石のように堅固でありながら、一方できわめてヒューマンな存在、人間の手と直結した存在でもあった。コンクリートの堅固さと対比しながら、石の壁をもう一度眺めてほしい。石壁にはまず、ひとつひとつの石の単位というものが見えている。人間というヤワで弱い主体がひとつずつ積み上げることで、石ははじめて建築という全体に到達する。その決定的な制約条件が、その単位の小ささに反映している。大きすぎる石を人は扱うことができない。そのヒューマンな単位寸法があるおかげで、どんなに建築全体が大きくなったとしても、その大きな全体とわれわれの間を、石という単位の寸法が、仲介する。だから、どんなに大きな全体を前にしても、その全体のスケールや形態を判断するための糸口、きっかけが与えられ、恐怖感を抱かないですむ。逆にコンクリートの無気味さは、それが無限にぬめぬめとつながっていて、そのような仲介、とりつくシマがない点にある。組積造は、マッシブな重たい壁であると同時に、粒子としての側面をあわせ持っていた。コンクリートは粒子的ではなく、逆に、組積造は充分に粒子的だったのである。さらに単位の実在は、西欧の世界に数学的な考え方を発達させる要因ともなった。最小の基本単位がなければ、数学は生まれない。単位としてどんな寸法を設定し、すなわち石をまずどんな大きさに切って基本単位とし、それをどう組み合わせれば、強く、美しい全体に到達できるのか。その試行錯誤がギリシャにおける数学的思考法の、特異ともいえる発達の鎚となったのである。




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