「家は三回建てないと、自分にぴったりした住まいにならない」といわれてきた。この言葉の真意は、それほど家づくりは難しいということである。しかし今、三回も家をつくっていたら、とても身がもたない。実はこの言葉には、もう一つの意味がある。「家は家族とともに成長し、生きている」ということである。つまり、ライフサイクルに対応した家づくりだ。ところで、こうした住まいづくりで気になるのは、家の耐久性や強度、性能ばかりに気を取られ、家を単なる容器として判断している人が目立つことである。
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住まいには、堅牢性のほかに、もっと重要な機能や価値がある。私どもが長年築いてきた特有の文化や風土との適合性が、大きな意味をもっているのだ。つまり、人の住まいは、そう簡単に合理的な解釈だけでは済まない、もっと複雑な要素が絡んでいる。家をつくる時に、鉄筋コンクリートか木造か、といった素材の迷いが多いことも、その表れである。本心では木造を期待しながら、現代都市の危険性や災害に対する不安から、鉄筋コンクリートや、性能、価格でその中間的な軽量発泡コンクリート板、セラミックといった新しい素材やツーバイフォー等の新工法に関心を示しやすい。