Aさんの逆襲を受けた委員会側は、管理組合の広報誌に釈明文を載せた。建設会社は名前を変えて引き続き、契約を結び、集会所の増改築工収を請負っていた。なぜ、社名を変える必要があったのだろう。Aさんは「もういいよ」と手を引いた。住民どうし、徹底的に相手を追いつめたらコミュニティーは崩壊してしまう。団地に立った波風は、ひとまずおさまった。住民の一級建築士や弁護士、不動産関係者など、いわゆる専門家がマンションの維持管理をリードするケースは珍しくない。
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素人の一般住民にすれば「〇〇さんに任せたら安心」と頼りがちになる。マンションの問題に無闘心な住人が増えると、それに比例して専門家たちの発言力は高まる。専門家にすれば「建物の維持管理なんて、誰もやりたがらない。仕方なくやってるんだ」とボランティア精神を強調する。だが、専門家がプロの使命感で対処している間はよいが、私的な関心で突っ走ると他の住民は翻弄され、団地のか細い絆は切れる。住民の無関心は、知らず知らずのうちに自らの資産を食い潰していく。桃山台第二団地で建て替えを最初に目にしたのは、住民の建築士や弁護士、理系の大学教授らが立ち上げた「将来計画専門委員会」だった。彼らは九〇年代初頭に高層化のプランを立てたが、バブルが崩壊して地価が下落すると前提が削れ、トーンダウンした。補修騒動も鎮まり、桃山台第二団地に平安が戻ったかにみえた。